アッサラーム・アライクムを超えて

アラビア語は文字を右から左に書くところからして日本人は違和感を覚えるでしょう。しかしアラビア語を公用語とするイスラーム圏の人口は10億人を超え、一つの大きな文化・経済圏を確立しており、世界の情勢はこの人達、そしてこの言語抜きにしては語れません。しかし日本人は英語などの西欧の言語と中国語などには関心を持ちますが、地理的にその中間に位置するアラビア語にはあまり関心を持たないのが現状です。

ではこのままアラビア語に無関心でいられるでしょうか?

グローバル化の中、世界を様々な側面から見る事はますます重要になり、イスラーム圏も世界の中のひとつの重要な側面です。そしてそのイスラームの人々の心を理解する最初の扉の鍵、それはアラビア語であると思うのです。

また、アラビア語はイスラム教徒だけでなくアラブ世界のキリスト教徒やユダヤ教徒ほか様々な人々によっても話されているということも国際言語アラビア語の重要な一面です。

日本でアラビア語を学ぶ環境は、テレビ講座などの入門的なものから、大学での本格的なものまでそろってはいます。

しかし一般の社会人やイスラームに興味を抱く人たちの多くが最初に手にする入門的なものでは「アッサラーム・アライクム」などの挨拶程度で終わり、それ以上のアラビア語を学ぶことをあきらめてしまうことも多いのです。

 一方大学の講義などは文法重視で難解なものが多く、一般の人にとってはとてもついていけるものではありません。

私達が目指すのは、かつて中学校で英語を学んだように、応用できる程度の読み書き、基本的な文法力・単語力などを学ぶことです。「実践アラビア語講座」の「実践」とは、生きた言語としてのアラビア語を、アラビアのことわざにもあるように「ステップ・バイ・ステップ」で学んでいこう、という意味です。

私達は、生きた言語アラビア語を学ぶ「トポス(場所)」を「実践アラビア語講座」と名付け、多くの人にアラビア語、そしてその先のイスラーム文化をも知ってもらえたらと願っています。

松尾 晴紀
鈴木 道子

この講座で教えるアラビア語

アラビア語にはイスラームの聖典コーランの神の言葉を正確に解釈するための文法学に基づいた、正則アラビア語(フスハー)と呼ばれる、読み書きや思索のための言葉があります。そのフスハーは、アラビア語の揺るぎない基盤を形成してきましたが、近代になり、新しい語彙や表現方法を取り入れ、現代フスハー、あるいは現代標準アラビア語と呼ばれる、学校教育、報道、著作などの公的な場面で用いられるアラブ世界の共通言語が誕生しました。

一方、アラビア語にはアーンミーヤと呼ばれる、人々が私的な生活の場面で用いる民衆言語、方言があります。フスハーがしっかりとした文法体系に基づいているのに対し、こちらは文法的にきちんと説明することが困難な場合があり、フスハーとの間に発音や語彙の面で大きな違いがある場合もあります。各地域、町、村ごとに多数のアンミーヤが存在し、その数を特定することは困難です。

(以上は、新妻仁一 著 「アラビア語文法ハンドブック」(白水社) から一部改変して引用)

この講座で教えているのは現代フスハーですが、時々アーンミーヤの話題なども取り入れながら、楽しく勉強できたらと思っています。

授業風景(新宿教室)

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